下剤の服用が苦手、下剤を飲みたくない方への大腸内視鏡検査
下剤の服用が苦手、下剤を飲みたくない方への大腸内視鏡検査
通常の大腸カメラでは、検査当日に約2リットルもの大量の下剤(腸管洗浄液)を服用する必要があります。腸をきれいにすることは、精度の高い検査をするためには必須ですが、この下剤の量や味に苦手意識があり検査に踏み切れない方がいるのも事実です。
「検査は必要だとわかっているけれど、下剤が大きなハードル」と感じている方には、下剤を飲まなくてもよい方法をご案内します。この方法では、下剤の量や味を気にすることなく、快適に検査を受けることが可能です。実際に私の母もこの方法で検査を受け、大変楽に検査を受けることができたと喜んでくれました。過去に下剤でつらい思いをされた方は、ぜひ一度ご相談ください。
下剤を飲まずに受けられる大腸カメラ検査には、「内視鏡的下剤注入法」と「鼻チューブ法」の2種類の方法があります。それぞれの方法について詳しく解説します。
胃カメラを用いて、十二指腸〜小腸側に下剤(腸管洗浄液)を機械的に注入する方法です。注入は眠っている間に行われ、目が覚めた時には、胃カメラ検査が終わり、下剤も飲み終わった状態です。その後、お部屋を移動しトイレに通い、大腸がきれいになったら、改めて大腸カメラを行います。
味や量を気にせず、下剤を服用できます。また、直接的に腸に下剤を流すため、腸がきれいになるまでの時間が早く、お尻への負担が少ないです。
同日の胃カメラ検査が必須となります。また、内視鏡的下剤注入法における胃カメラは保険適用外のため、胃カメラ分は自費負担となります(当院では注入法そのものに対する特別な予約料は頂戴しておりません)。排便状況によっては、追加で下剤を飲んでいただく場合があります。
腸閉塞の既往のある方や、高度の便秘の方、70歳以上で過去3年以内に検査歴のない方などは、急激に腸管内圧が上昇する危険があります。ご自身が安全に検査可能かどうか心配な方は、一度ご来院の上、ご相談ください。
鼻からごく細いチューブを入れ、胃に直接ゆっくりと下剤を流し込みます。トイレに通い、大腸がきれいになったら、大腸カメラを行います。
胃カメラを受ける必要がありません。胃カメラがない分、内視鏡的洗腸液注入法よりも安価に検査をお受けいただけます。内視鏡的洗腸液注入法と比較してゆっくりと自然な形で下剤が流れるため、身体の負担も少なくてすみます。
鼻に入れるチューブはとても細いので痛みはありませんが、鼻がツンとするような刺激感や違和感を感じることがあります。特殊な機材を使用するため、材料費の実費分を別途頂戴いたします。
※前日の食事制限などについては通常の大腸カメラと同様です。
※下剤を飲まない大腸カメラ検査では、ご来院されてからお帰りになるまでおおよそ4〜5時間程度を見込んでいますが、排便状況により大幅に前後する場合がありますので、検査後のスケジュールにはゆとりをもっていただくことをお勧めします。
内視鏡的洗腸液注入法 | 鼻チューブ法 | |
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ご来院〜下剤注入 | 最初に胃カメラ検査を行います。鎮静剤(麻酔)を投与し、眠っている間に胃カメラを十二指腸〜小腸側まで進め、機械的に下剤を注入します。 | 鼻に細いチューブを入れ、直接胃の中に下剤を流し込みます。 |
トイレに通う | ベッドでお休みいただいた後、一旦目が覚めます。この際には、胃カメラ検査が終わり、下剤も飲み終わった状態です。ここからお部屋を移動し、大腸の中がきれいになるまで数回トイレに通います。 | 下剤を注入し、30分〜1時間程度で初回のトイレを催します。その後、大腸の中がきれいになるまで数回トイレに通います。 |
大腸カメラ検査 | 便が透明になったら、いよいよ検査です。鎮静剤(麻酔)を投与すると1分程度で眠たくなります。鎮静剤が効いていることを確認し、大腸カメラを挿入し検査を行います。検査時間は10〜30分程度です。 | |
検査後 | 検査が終わった後は、リカバリールームでお休みいただきます。その後、医師から検査時の画像をお見せしながら検査結果の説明を行います。大腸ポリープの切除や、組織検査などを行った場合は、最終の診断結果が出るまでお時間を要する場合がありますので、必要時ご案内します。 |
一部のホームページを見て、内視鏡的下剤注入法の安全性について心配されるお声をいただくこともあります。(実際、私が母に行っていることからもお分かりいただけるかと思いますが)対象を間違えなければ安全に行うことが出来ます。
ただし、残念ながら腸閉塞の既往がある方や、高度の便秘症の方、腹部の症状が強い方などは、急激に腸管内圧が上昇する危険がありますので、ご希望いただいた場合でも、安全に検査を行うことができないと判断した場合には、お断りするケースもございますのでご了承ください。
毎日快便の方、もしくは過去3年以内に大腸カメラ検査を受けたことがある方で、かつ70歳未満の持病のない方であれば、問題になることはまずありません。また、鼻チューブ法であれば、内視鏡的下剤注入法の対象とならない方でも安全にお受けいただけます。ご自身が安全に検査可能かどうか心配な方は、一度ご来院の上、ご相談ください。
胃カメラも大腸カメラも眠っているうちに受けることは可能です。ただし、内視鏡的下剤注入法の場合は、胃カメラと大腸カメラのそれぞれで鎮静剤(麻酔)を使用するため、総量が多くなる傾向にあります。鎮静剤(麻酔)の使用を最小限におさえたい場合は、ご自身で下剤を飲む検査、もしくは鼻チューブ法を選択することをお勧めします。
都内では内視鏡的下剤注入法を受けられるクリニックがいくつかありますが、特殊な技術を要するため、全国的にはまだまだ一般的な検査方法ではありません。安全に検査を行うために、経験が豊富な医師を選ぶことが重要です。
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