お腹の張り・おならが気になる
お腹の張り・おならが気になる
「お腹が張って苦しい」「ガスが溜まりやすい」というのは、消化器内科で非常に多いお悩みです。医学的にお腹の張り(膨満感)は大きく「上腹部の張り(胃や十二指腸の問題)」と「下腹部の張り(腸の問題)」に分けられます。
それぞれの原因に合わせて、胃カメラや大腸カメラによる正確な診断と、適切な治療・生活改善を行うことが解決への第一歩です。
上腹部が張る原因は、主に胃酸過多や、胃が刺激に過敏になる内臓知覚過敏が関与しています。これらは「慢性胃炎」や「機能性ディスペプシア(FD)」でよく見られる症状です。
胃カメラで明らかな異常がないにも関わらず、胃の働きや知覚の異常によって張りが起こるのが「機能性ディスペプシア(FD)」です。FDの治療において重要なのは「ピロリ菌感染の有無」です。
適切な治療を選択するためには、まずは胃カメラ検査とピロリ菌検査が不可欠です。
お腹に溜まるガスの多くは「口から飲み込んだ空気」です。早食いや食事中の会話だけでなく、ストレスによる無意識の噛み締めなどで空気を大量に飲み込んでしまう「呑気症(空気嚥下症)」が、上腹部の強い張りの原因になります。
また近年では、飲み込んだ空気が胃に到達する前に、食道から無意識に押し出してしまう「Supragastric Belching(SGB:胃上部げっぷ)」という状態も注目されています。これらは、胃腸自体の異常というよりも、強いストレスや緊張などの精神的・心理的な因子が深く関わっているケースが少なくありません。
【専門医からのアドバイス】
「ストレスが原因だ」と自己判断して心療内科へ行く前に、まずは胃カメラ等の検査で「胃炎やピロリ菌、胃がんなどの病気が隠れていないか」を確実に確認(除外診断)することが最も重要です。当院では正確な診断を行った上で、お腹の症状を和らげるお薬や漢方薬の処方を行い、必要に応じて心療内科等との連携も見据えた心身両面からのサポートをご提案します。
「便がまだ残っている気がする(残便感)」と、トイレに長く座って「もう少し出るはず」と強くいきんだり、市販の下剤を乱用したりすることが、実は下腹部のガンコな膨満感の大きな原因になります。
過度ないきみや下剤の使いすぎは、腸の神経を疲弊させ、かえって腸の動きを悪くしてしまいます。これを根本から解決するには、薬に頼り切るのではなく「腸の再教育」が必要です。
▼当院院長の著書で詳しく解説しています▼
『「薬で出す」を卒業する! 便秘専門医が教える 腸の再教育』(講談社)
▶︎ 講談社 公式サイト / ▶︎ Amazon
便秘や下痢を繰り返すと悪玉菌が増殖し、異常発酵による大量のガスと悪臭(硫黄化合物など)が発生します。また、小腸内で細菌が異常増殖する「SIBO(小腸内細菌増殖症)」もガスの原因として知られています。しかし、SIBOに対する抗生剤治療は保険適用外であり再発率も高いため、当院ではまず食事の調整や便通改善など、安全で確実な保険適用の治療を優先することを推奨しています。
さらに、ストレスで自律神経が乱れ、腸が知覚過敏になる「脳腸相関」も張りの原因です。この脳腸相関を安定させ、腸内環境を整えるアプローチとして、良質な乳酸菌サプリメントが有効なケースも多く経験しています。
「腸活のためにヨーグルトや納豆をたくさん摂っているのにお腹が張る」という方は、特定の糖質「FODMAP(フォドマップ)」が腸内で過剰発酵している可能性があります。これらを控える「低FODMAP食事療法」を取り入れることで、IBSなどの症状が劇的に改善することがあります。
姿勢の悪さ(猫背など)や筋力低下により、胃や腸が骨盤方向へ落ち込む「内臓下垂(落下腸)」になると、腸が複雑に折り重なって便やガスが引っかかりやすくなります。
実は特別なお薬を使わなくても、姿勢の改善、適切な腹圧のコントロール、インナーマッスルの強化を行うだけで、劇的に症状が改善するケースが非常に多いのが特徴です。これも薬に頼らない「腸の再教育」の重要なステップです。
大腸がんなどの腫瘍や、過去の手術の癒着などが原因で腸の通り道が塞がれる状態です。ガスや内容物が溜まりお腹がパンパンに張り、激しい腹痛や嘔吐を伴う場合は腸閉塞が疑われ緊急対応が必要です。また、がんが進行するとお腹に水が溜まる「がん性腹水」や、女性の場合は婦人科系疾患(子宮筋腫など)が原因で張るケースもあります。
病院を受診するまでの間、日常のちょっとした工夫でお腹の張りを和らげることができます。
以下のような症状がお腹の張りに伴う場合は、ただのガス溜まりではなく重大な疾患が隠れている危険性があります。市販薬で様子を見ず、直ちに消化器内科を受診してください。
「たかがお腹の張り」と市販薬で誤魔化し続けるのは危険です。当院では、まずは胃カメラや大腸カメラを行い、がんやポリープ、炎症といった命に関わる器質的疾患が隠れていないかを確実に診断します。
内視鏡検査で異常がなければ、機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)、慢性便秘症、内臓下垂などを疑い、患者様お一人おひとりの状態に合わせて以下のような治療を組み合わせます。
※腹水や腸閉塞が強く疑われる激しい症状の場合は、内視鏡の前に血液検査、腹部超音波(エコー)検査、提携施設でのレントゲン、CT検査などで全身の状態を迅速に確認します。
長引くお腹の張りやおならの臭いでお悩みの方は、一人で抱え込まず、消化器専門医である当院へご相談ください。
一時的な使用は問題ありませんが、長期間頼り続けるのは危険です。
特に市販の下剤(刺激性下剤)を乱用すると、腸が疲弊して自力で動けなくなり、かえってお腹の張りや便秘を悪化させる原因になります。また、市販薬でごまかしている間に大腸がんや腸閉塞などの重大な病気が進行してしまう恐れもあります。症状が数日続く場合は、消化器内科で正確な診断を受けることをお勧めします。
必ずしも大腸がんとは限りませんが、腸内環境の悪化や腸の働きが低下しているサインです。
悪玉菌が増殖し、食べたタンパク質が腐敗すると臭いのきついガスが発生します。しかし、「便が細くなった」「血便が出る」「急激に体重が減った」などの症状が伴う場合は、大腸がんによって腸が狭くなり、便やガスが滞留している可能性があります。年齢に関わらず、気になる症状があれば一度大腸カメラ検査をご検討ください。
特定の糖質「FODMAP(フォドマップ)」が腸内で過剰に発酵している可能性があります。
一般的に「腸に良い」とされるヨーグルトや納豆、りんご、小麦製品などは、過敏性腸症候群(IBS)の方にとっては逆にお腹の張りやガス、下痢の原因となることがあります。このような場合は、原因となる糖質を控える「低FODMAP食事療法」が有効です。詳しくは当院のFODMAPについてのページをご覧ください。
「立ち上がると下腹部だけぽっこり出る」「横になるとお腹の張りが楽になる」などの特徴があれば、内臓下垂の可能性があります。
内臓下垂は、姿勢の悪さや腹筋の弱さにより、腸が骨盤の方に落ち込んで折り重なった状態です。便やガスがスムーズに通過できなくなるため、お腹の張りの大きな原因になります。当院では、お薬による治療だけでなく、姿勢改善や腹圧コントロールによる「腸の再教育」を通じて、内臓下垂へのアプローチも行っています。
「みぞおち付近の張り」なら胃カメラ、「下腹部の張りや便通異常」を伴うなら大腸カメラが基本となります。
胃酸過多や機能性ディスペプシア(FD)が疑われる場合は胃の検査を、過敏性腸症候群(IBS)や大腸がんが疑われる場合は大腸の検査を行います。ご自身で判断が難しい場合でも、当院は胃カメラと大腸カメラの両方に対応しておりますので、まずは診察にて症状を詳しくお伺いし、最適な検査をご提案いたします。
TOP