過敏性腸症候群(IBS)とFODMAP
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過敏性腸症候群(IBS)とFODMAP
FODMAPとは、小腸で吸収されにくく、大腸で腸内細菌によって発酵しやすい4つの糖質の総称です。
これらの糖質は、大腸内で過剰なガスを発生させたり、腸内に水分を引き込んだりする性質があります。健康な方であれば問題ありませんが、腸が敏感になっている方(過敏性腸症候群など)が摂取すると、過剰なガスによる「お腹の張り・痛み」や、水分の増加による「下痢」、あるいは「便秘」を引き起こす大きな原因となります。
「腸に良い」とされている食品(納豆、ヨーグルト、りんご等)が、実は高FODMAPであり、かえって症状を悪化させているケースが多々あります。
| 穀類・炭水化物 | 小麦製品(パン、うどん、パスタ、ラーメン、ピザ生地)、ライ麦、ケーキ、クッキー |
|---|---|
| 野菜・きのこ類 | 玉ねぎ、にんにく、ねぎ、キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス、きのこ類全般、ごぼう |
| 果物 | りんご、梨、スイカ、桃、柿、ドライフルーツ、果汁100%ジュース |
| 乳製品・豆類 | 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、クリームチーズ、大豆、納豆、豆乳(無調整) |
| 和食・甘味料など | はちみつ、キシリトール、人工甘味料、あんこ(あずき)、キムチ |
| 穀類・炭水化物 | 白米、玄米、そば(十割そば)、米粉パン、オートミール、じゃがいも |
|---|---|
| 野菜・海藻類 | レタス、ほうれん草、トマト、なす、きゅうり、にんじん、わかめ、昆布 |
| 果物 | バナナ、キウイ、いちご、ブルーベリー、ぶどう、オレンジ |
| 乳製品・たんぱく質 | 鶏肉、豚肉、牛肉、魚介類全般、卵、豆腐(木綿・絹)、バター、アーモンドミルク |
| 和食・甘味料など | 上白糖、メープルシロップ、しょうゆ、塩、こしょう、オリーブオイル |
※上記の表は一例です。より網羅的な食品一覧表や、食事法の注意点について詳しく知りたい方は、当院監修のコラム記事もあわせてご参照ください。
👉 FODMAP食品一覧と食事法の注意点(当院メディアサイトへ)
低FODMAP食は「一生続ける食事法」ではありません。FODMAPの多くは腸内の善玉菌のエサとなるため、長期間の極端な制限はかえって腸内環境(腸内フローラ)を悪化させ、栄養不足を招く危険性があります。
以下の3つのステップで、「自分に合わない食品(トリガー)」を見つけ出すことが本来の目的です。
低FODMAP食事療法を頑張っても「お腹の張りがスッキリしない」という方は少なくありません。その場合、原因は食べ物だけではなく、「脳腸相関(のうちょうそうかん)」の乱れにある可能性があります。
脳と腸は自律神経を通じて密接に繋がっており、ストレスが腸の働きを乱し、逆に腸の環境の悪化が脳にストレスを与えるという悪循環が存在します。近年、質の高い乳酸菌(プロバイオティクス)を取り入れて腸内環境を整えることが、この脳腸相関を安定させ、IBSの知覚過敏やガスによる不快感を和らげるというエビデンス(医学的根拠)が多く報告されています。
当院では、医療機関専売の乳酸菌サプリメント「De-glu(デグル)」を取り扱っております。
元々は「パンやパスタがやめられない方のための、グルテン分解サポート」として開発されたものですが、実際の臨床現場では、普段グルテンをあまり食べない方であっても「長引くお腹の張り」が改善するケースを多く経験しています。
これは、De-gluに含まれる生きた乳酸菌が腸内フローラに働きかけ、脳腸相関を通じた不調の改善に寄与しているからではないかと当院では考えています。「食事制限が辛い」「色々と試したがお腹が張る」という方にとって、試してみる価値のある選択肢の一つです。
お腹の張りや下痢、便秘が続く場合、「自分はIBSだ」「FODMAPが合わないんだ」と自己判断して食事制限を始めるのは非常に危険です。
なぜなら、それらの症状の裏には大腸がんや、難病である潰瘍性大腸炎・クローン病といった、命に関わる「器質的疾患(腸の粘膜や構造の異常)」が隠れているケースが少なくないからです。
IBS(過敏性腸症候群)という診断は、大腸カメラ(内視鏡検査)を行って「腸の中にがんや炎症がないこと」を証明して初めて確定します(除外診断)。
当院では、鎮静剤を使用し「ウトウトと眠っている間に苦痛なく終わる大腸カメラ」を行っております。まずは専門医による正確な診断を受け、腸の安全を確認した上で、お薬の治療と適切な食事指導を並行して進めていきましょう。
いいえ、完全に避ける必要はありません。
FODMAPは腸に悪い成分ではなく、腸内でガスを発生しやすい糖質です。体質により耐えられる量が異なるため、ご自身の症状が出やすい特定の食品を中心に控えるのがおすすめです。長期間の完全除去は善玉菌を減らすリスクがあるため推奨されません。
一般的には4〜6週間の「除去期間」で症状の変化を感じる方が多いです。
その後、少しずつ高FODMAP食品を再導入して、自分の腸に合う食品と合わない食品を見極めるステップ(再導入期)に進むことが重要です。短期間での効果を焦らず、体質を見極めていきましょう。
はい、和食は低FODMAPな食材が豊富であり、工夫次第で非常に取り入れやすい食事法です。
白米や十割そばを主食とし、焼き魚、卵焼き、豆腐、みそ汁(玉ねぎやニンニクを入れない)などは代表的な低FODMAP食です。ただし、大豆が多すぎる味噌や、小麦を使った揚げ物の衣などは高FODMAPになるため注意が必要です。
一時的な試みであれば問題ありませんが、長期的な自己判断での制限は栄養不足や腸内環境の悪化を招くリスクがあります。
また、症状の原因がIBSではなく、大腸がんなど別の病気である可能性もあります。まずは消化器内科で大腸カメラ等の検査を受け、医師の診断と指導のもとで安全に進めることが最も確実です。
食事以外の要因(過度なストレス、自律神経の乱れ、腸の運動異常)や、別の消化器疾患が関与している可能性が高いです。
食事療法だけで限界がある場合は、腸の働きを整える最新の内服薬(イリボー等)や漢方薬を組み合わせることで劇的に改善するケースが多くあります。一人で悩まず、一度専門医にご相談ください。
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