お腹がぐるぐる・ゴロゴロ・グーっと鳴る
お腹がぐるぐる・ゴロゴロ・グーっと鳴る
お腹が鳴ること自体は、基本的には病的なものではありません。あまり気にしないことが一番ですが、原因は大まかに下記のように分けられます。
当然と思われるかもしれませんが、お腹が空くとお腹が鳴ります。お腹が空いた時には「空腹期収縮」と呼ばれる消化管の強い収縮運動が起こり、お腹が鳴ります。最後の摂食から6〜8時間程度で起こることが多いです。胃腸に溜まった消化液や食事のカスを押し流して、次の食事に備えるために起こる生理的な消化管の働きです。
空腹時ほどの大きな運動ではありませんが、食後には少しずつ食べたものを胃から腸へと送り出すような小刻みの収縮活動があり、この胃や腸の動きの音がお腹から聞こえることがあります。
腸内には100兆とも言われる大量の腸内細菌が共存していますが、食べ物を消化する際に発酵性にガスを産生することがあります。一般に「腸活」などと称して好んで食される発酵性食品の過剰摂取が、お腹の張りや腹鳴の原因となる場合があります。腸内で発酵してガスを発生し、腹部の張りの原因になる可能性のある食品群を、FODMAP(フォドマップ)と呼びますが、Fermentable(発酵性の)Oligosaccharides(オリゴ糖)Disaccharides(二糖類)Monosaccharides(単糖類)And(&)Polyols(糖アルコール)の頭文字をとったもので、これらを避けた「低FODMAP食」を心がけることで症状が緩和する場合があります。
運動などで胃や腸が上下に揺さぶられるような形で動かされると、お腹の中のガスや消化液が移動してお腹がなることがあります。消化器系の動きが活発化につながりますので、適度な運動習慣がある人には便秘が少ないとも言われています。
ストレスや過緊張状態で自律神経が刺激されると、胃腸の動きが活発化し、お腹が鳴ることがあります。また、ストレスがかかると唾液と一緒に空気を飲み込んでしまう「呑気症」の症状を引き起こし、お腹にガスが溜まって腹鳴の原因となります。ガムを噛む、炭酸飲料を飲む、熱いものを飲む、麺類をよく食べる、などの習慣がある人でも同様に空気が多く入り込む場合があります。
小腸は病気ができにくい臓器と言われていますが、稀に小腸腫瘍などでも腹鳴を起こす場合があります。その他、消化管の通過障害を起こすような疾患が隠れている場合や、下痢を起こしている場合などは、消化管が過剰な蠕動運動を起こし、お腹が鳴ることがあります。
特に下痢型もしくは混合型過敏性腸症候群の場合は、腸管運動が亢進しているため、お腹の鳴りが目立つ場合があります。通常はお腹の音よりも下痢症状の方が悩みの原因となりやすいため、腹鳴を症状として訴える方は多くはありません。
がんなどの腫瘍による消化管の通過障害や、手術後の癒着による腸閉塞では腸雑音が亢進し、聴診器で聞くと「金属音」とも呼ばれる特徴的な腸の音が聞こえます。通常はお腹の音よりは腹痛や吐き気が前面に出るため、腹鳴を症状として訴える方は多くはありません。
お腹が鳴ることを主訴とする場合で、他の腹痛や吐き気、下痢などの症状を伴わない場合、腹鳴恐怖症と呼ばれる不安障害の一種であることが多いです。これは、お腹が鳴ること自体は病的ではないにも関わらず、「周りの人に聞かれたら恥ずかしい」「〇〇している時にお腹が鳴ったらどうしよう」などと過剰に心配しまう状態です。
心配やストレスがさらに症状を悪化させるので、気にしないのが一番なのですが、胃カメラ・大腸カメラなどの検査を受けて、「心配な病気がない」ということが分かるだけでも、安心して症状が緩和することもあるので、気になる場合は一度検査を受けてみると良いかもしれません。それでも症状が良くならない場合は、カウンセリングや精神科での治療が有効な場合もありますのでご検討ください。
音の大きさや音色の違いは、胃腸内のガスや液体の量、さらには食べた物の消化状態によって変わります。空腹時や腸内環境によりガスが多く含まれる場合、音が大きくなることがあります。また、例えば脂肪分の多い食品など、消化が遅い食品を摂取すると、胃腸の中での滞留する時間が長くなり、その間に音が大きく響くことがあります。反対に、消化しやすい食品を摂取した場合は、音は小さくなることが多いです。
腹鳴の原因にもよりますが、正常な消化活動に伴って起こる腹鳴は、止めることはできません。ただし、過剰な腹鳴を少しでも小さくしたい、という場合は、いくつかの方法があります。1つ目は、少量の食事を小分けにして摂ることです。完全な空腹状態を避けることで、大きな蠕動音を防ぐことができます。2つ目は、ガスの発生を抑える食品を選ぶことです。「FODMAP」と呼ばれる腸内で発酵してガスを発生する食品群を控えることで音が小さくなる場合があります。3つ目はゆっくり噛んで食べることです。食事中にあまり噛まずに飲み込むと、空気も一緒に飲み込んでしまい、腹鳴の原因となる場合があります。
腹痛や吐き気、便秘や下痢などの便通異常、血便を伴う腹鳴は、消化器がんなどの悪性腫瘍や腸炎など、重大な疾患が隠れている可能性があり、早急に医療機関の受診が必要です。腹鳴の多くは自然な生理現象ですが、頻度や音の大きさが異常であったり、他の症状を伴う場合は医療機関での診察を受けることが重要です。
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