お腹の張り・おならが気になる
お腹の張り・おならが気になる
お腹が張るというのは結構多いお悩みです。お腹の張りは医学的には上腹部の張りと、下腹部の張りとに分けられるのですが、一般的に患者様が「お腹が張る」という場合には下腹部の張りを示すことが多いようです。
便秘や食生活の乱れで、悪玉菌が多くなると、ガスが発生してお腹の張りやオナラの臭いがきつくなる原因となります。特に肉や卵などの動物性タンパク質は、悪玉菌によって分解されると硫黄化合物やアンモニアなどにおいの元となるガスを発生します。便秘の改善などで腸内環境の改善に取り組むと同時に、においの元となりやすい食品群を避けることも有効です。
「腸活」など、身体に良かれ、と思って一生懸命摂っている食品が、実は症状の原因になる場合があります。腸内で発酵してガスを発生し、腹部の張りの原因になる可能性のある食品群を、FODMAP(フォドマップ)と呼びます。Fermentable(発酵性の)Oligosaccharides(オリゴ糖)Disaccharides(二糖類)Monosaccharides(単糖類)And(&)Polyols(糖アルコール)の頭文字をとったもので、これらを避けた「低FODMAP食」を心がけることで腹部の張りが取れることがあります。
姿勢の悪さが続いたり、腹筋がうまく使えなかったりすることで腹腔内の内臓が骨盤方向に落ち込むと、下腹部の張りの原因となる場合があります。
様々な原因により小腸や大腸のいずれかで食べ物や消化液の通過が障害され詰まりを起こすと、口側方向に消化液や空気が貯留し腹部の張りや吐き気を引き起こします。物理的に腸が閉塞する腸閉塞(従来の機械的イレウス)と、腸の運動障害によるイレウス(従来の機能性イレウス)とに分類されます。
お腹の中に、がんなどの大きな腫瘍があり張りとして感じられる場合や、がんがより進行すると腹水といって、腹腔内に水が溜まってくることでお腹の張りを自覚する場合があります。腹水はがん性腹水以外にも、肝硬変や心不全に伴う腹水や、炎症性の腹水などの場合もあり、異常な腹水を認めた場合には全身性に原因検索を進めることが重要です。
大腸がんや大腸ポリープによる便通異常や腸内環境の悪化が腹部の張りとして感じられる場合があります。また病状が進行すると、腸自体が腫れているのを体外から触れる場合や、腸閉塞を起こす場合もあります。
慢性便秘症は腸内環境の悪化につながり、悪玉菌の増加から下腹部の張りの原因となる可能性があります。長期的な治療が必要になる場合もあります。
便秘や下痢などの便通異常とともに腹痛や腹部の張りなどの不快感を呈する疾患です。検査をしても画像上は異常が見つからないのが特徴です。
一部上記疾患と重複しますが、小腸がん・大腸がんなどの悪性腫瘍や、腹部手術後の癒着などにより、消化管内の通過障害が起こることによって消化液や空気などが溜まり、腹部の張りや吐き気の原因となります(単純性腸閉塞)。
多くは保存的に治療を行うことが可能ですが、腸が捻れる、腸重積を起こすなどの血流障害が起こると、腸が壊死して重篤な症状を引き起こす場合もあり、緊急手術が必要となります(複雑性腸閉塞)。
胃カメラ・大腸カメラを主体として腹部の張りの原因を特定し、原因疾患に沿った薬物治療を行います。また、薬物治療と並行して、生活習慣の中に症状を悪化させている原因がないかを突き止め、改善するよう指導します。腹水や腸閉塞が原因で腹部の張りを感じている場合は、内視鏡検査よりも先に血液検査やレントゲン、腹部超音波検査、CT検査などで全身検索を進める場合もあります。
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