便秘・便が細くなった・残便感がある
便秘・便が細くなった・残便感がある
便秘は全人口の10〜15%程度に見られる非常にありふれた疾患で、特に女性では男性の2倍以上、便秘の方が多いとされています。便秘の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると、大腸の中に異常があり、便の通り道が狭くなったことによる「器質性便秘」と、大腸の中には異常がないものの、腸の動きに問題がある「機能性便秘」とに分けられます。
下記に当てはまる方は、まずは大腸カメラ検査を受けて、大腸癌などの重大な病気を含む器質性便秘を除外することが重要です。
器質性便秘の原因として最も注意すべきは大腸がんです。特に「警告症状」と呼ばれる、急激な排便習慣の変化、血便、体重減少、発熱、関節痛などを伴う便秘や残便感はより早急な検査が必要であることが便通異常症診療ガイドライン上でも示されています。
過去に大腸がんや大腸ポリープの既往がある、もしくは家族や血縁者に大腸がんや大腸ポリープの病歴がある方なども危険因子となり得ます。大腸がんや大腸ポリープは加齢とともに頻度が増すことがわかっていますので、40歳以上の方は定期的な大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
大腸カメラで器質性便秘が否定された場合は、機能性便秘としての治療を行います。機能性便秘の場合、その原因はさらに「大腸通過正常型便秘(大腸は動いているが、便の材料が不足していることによる便秘)」・「大腸通過遅延型便秘(便を運ぶ力そのものが弱いことによる便秘)」・「排便困難型便秘(便が直腸までおりてきているのに、うまく出せない)」の3パターンに分類されます。排便の回数や、便の硬さや性状などから、排便のどこに問題があるのかを見極めながら治療方法を検討します。
便秘型の過敏性腸症候群は、慢性便秘症との鑑別は非常に難しいですが、よりストレスや生活習慣と密接な関わりを持って発症します。治療法としては慢性便秘症の場合と大きくは変わりませんので、同様に対処します。
いぼ痔があり、お尻の出口が腫れることによって便が細くなったり残便感を感じたりすることもあります。軽度の症状であれば外用剤や内服治療で保存的に治療を行いますが、症状が強い場合は手術治療を要する場合もあります。
女性は直腸の壁と隣接して膣壁が存在し、この間を隔てる組織が弱くなることにより、直腸の一部が膣側に脱出し、ポケット状の空間ができてしまう状態を「直腸瘤」と呼びます。
このポケット状の空間があることで、排便時に力が逃げてしまい、残便感の原因となる場合があります。特に産後の女性や高齢女性に見られるもので、軽い症状であれば骨盤底筋群の体操などにより症状が改善する場合もありますが、症状が強い場合は、臓器の位置を元に戻したり、弱くなった組織を補強したりする手術を要することもあります。
当院では、便秘・便がすっきり出ない・便が細いなどの症状がある方に対して、まずは大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)により、重篤な病気が隠れていないかどうか、チェックすることをお勧めしています。
器質的便秘が否定されればひとまずは安心で、その後は機能性便秘に対する治療を進めていきます。機能性便秘の場合、日々の生活習慣や食生活の改善指導を含めた総合的な診断と治療が必要となりますが、一般的な外来診察枠では時間が足りないことも多く、じっくり便秘と向き合う専用外来枠も設けていますのでご利用ください。
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