便潜血検査で陽性だった
便潜血検査で陽性だった
便潜血で陽性反応が出た場合は、必ず大腸カメラ検査による精密検査を受けることが重要です。便潜血検査とは、便の表面に付着する血液成分を検出する検査で、簡易的な大腸がん検診方法として広く普及しています。
便潜血検査で陽性反応が出たとしても、必ず大腸がんがあるわけではありませんが、大腸がんまたはその前段階である大腸ポリープが見つかる確率は約60%とされています。便潜血陽性となった方は、大腸がん・大腸ポリープのハイリスク対象ですから、必ず大腸カメラ検査を受けましょう。
便潜血で陽性反応が出た場合はそれが1回だけでも、必ず大腸カメラ検査を受けてください。便潜血検査では、一般に便の表面を専用のスティックで擦って採取することを2日間繰り返す「便潜血検査2日法」が多く用いられます。これは仮に大腸がんがあっても、便にまんべんなく血液が付着するわけではないので、回数を重ねることで「偽陰性(本当は大腸がんがあるのに便潜血陰性となること)」を少しでも減らすための取り組みです。
国立がん研究センターのデータによると、便潜血検査陽性率は病気の進行度によって異なり、浸潤がん(手術が必要ながん)の場合は79.6〜86.2%、粘膜内がん(内視鏡治療が可能な早期の大腸がん)では47.1〜57.1%にとどまることが示されています。また10mmまでの良性の大腸ポリープでは、わずか10.6%しか陽性となりません。病気が進行するにつれて、便潜血が陽性となる確率は上昇しますが、反対に「早期の大腸がん」があっても2回に1回しか陽性とはならないのです。
最悪なのは、このことを医師でも理解していない方が数多くいることです。「じゃあもう1回便潜血を受けてみて、再度引っかかるようなら大腸カメラをしましょう。」などという医師がいますが、言語道断です。せっかく早期発見できるかもしれないチャンスをみすみす逃してしまうことになりかねませんので、便潜血で陽性反応が出た場合はそれが1回だけでも、必ず大腸カメラ検査を受けてください。
病変の進行度合いと、便潜血陽性率
浸潤がん(根っこの深い早期大腸がん〜進行がん) 79.6〜86.2% 粘膜内がん(根っこの浅い早期大腸がん) 47.1〜57.1% Advanced Neoplasia
(10mm以上の腺腫、異型度の高い(=癌に近い)腺腫、粘膜内癌)26.2〜35.7% Nonadvanced Neoplasia
(10mmまでの異型度の低い腺腫)10.6%
松田尚久ら. FIT陽性癌 vs. FIT陰性癌 (3)内視鏡医の立場から. Intestine. 2019; 23: 441-8.
Chiu HM, et al. Association between early stage colon neoplasms and false-negative results from the fecal immunochemical test. Clin Gastroenterol Hepatol. 2013; 11: 832-8. e1-2.
便潜血検査で陰性の結果が出た人でも、約20%の割合で大腸がんや大腸ポリープが存在するとされています。便潜血検査の結果を過信しすぎず、少なくとも40歳になったら、一度は大腸カメラを受けることをお勧めしています。
便潜血の考え方として、病気が進行するにつれて便潜血が陽性となる確率は上昇することから、単回の検査ではなく、毎年繰り返し受けることで病気を引っ掛ける「スクリーン感度」というものを重視しています。一方で、便潜血が陰性でも、次年度の検査を受けるまでに病気が進行し、何らかの症状が出現して見つかる中間期がん(interval cancer)の存在も無視できず、近年では便潜血検査と内視鏡検診(大腸カメラ検診)を組み合わせることで、より早期の大腸がんを効率よく発見する検診の取り組みが進んでいます。
現在、Akita pop-colon trialと呼ばれる内視鏡検診の有用性を検討する大規模調査が進行中で、この結果によって、数年後には現在の大腸がん検診のあり方が変わるのではないかと予想されます。
便潜血反応が陽性で大腸カメラ検査したのに異常なし、ということもあります。これには主に2つの理由が考えられます。
病変の発見率は内視鏡医によって異なり、大腸ポリープの発見率が高い内視鏡医(High detector)の検査を受けた人と、発見率の低い内視鏡医(intermediate-, and low-detector)の検査を受けた人とではその後の大腸がん死亡率が異なることが分かっています。
便潜血陽性となったらまずは大腸カメラを受けることが最重要ですが、異常なしと言われたにもかかわらず毎年便潜血検査陽性となる場合などは、一度受診する医療機関の変更を検討しても良いかもしれません。
これはあまり知られていないことですが、異常のない健康な消化管からも、1日あたり1〜2ml程度の自然出血があります。この自然出血や、その他の良性の痔や腸炎によっても、便潜血陽性反応が出てしまうこともあります。
痔の症状があるから、腹痛などの症状がないからという理由で、大腸カメラを受けることを避けようとする方もいますが、これは非常に危険な考え方です。
便潜血陽性でも「無症状の段階で精密検査を受けて早期に大腸がんが発見された人」より、便潜血陽性でも放置し、「目に見える血便や、急な便秘、下痢、腹痛などの症状が出現してから検査を受けて、大腸がんが発見された人」で死亡リスクが約5倍も高い、というデータがあります。便潜血検査の結果が陽性である場合は、症状の有無にかかわらず、速やかに精密検査を受けることが重要です。
特徴01
早期胃がん・大腸がんの発見率は検査医の技量に大きく依存します。当院では大国内有数の内視鏡症例数を誇るがん研有明病院で豊富な経験を積んだ院長が全ての胃カメラ・大腸カメラ検査を直接対応しており、一貫して質の高い検査が受けられます。
特徴02
当院では最先端の内視鏡システム「ELUXEO 8000システム」を導入しています。このシステムは、鮮明な画質と、高い汎用性を有しており、重大な病気の早期発見に有効な対策となります。当院では、最新技術への投資を惜しみなく行い、質の高い医療サービスを提供し続けます。
特徴03
鎮静剤(麻酔)を用いた胃カメラ・大腸カメラを行い、患者様の不安や苦痛を最小限に抑えます。患者様一人ひとりの体調や状態に合わせて、麻酔の種類や量をオーダーメイドで細かく調整し、患者様がリラックスした状態で検査を受けられるよう配慮しています。
特徴04
忙しい方々もより気軽に検査を受けられるよう、来院回数の削減や土日、早朝検査の提供、胃・大腸の同日検査など、ライフスタイルに合わせた柔軟な検査準備に対応しています。
特徴05
通常、大腸カメラでは検査当日に約2リットルもの大量の下剤を服用する必要があります。当院では、下剤の量や味が苦手な方向けに、下剤を飲むことなく大腸カメラを受けられる「内視鏡的下剤注入法」と「鼻チューブ法」を提供しています。
特徴06
大腸ポリープ切除は大腸がん予防に最も効果的な方法です。当院では、見つかったポリープは原則として即時切除し、二度手間になりません。また、術後の生活制限を最小限に抑えられる治療法を選択します。
特徴07
妻が実際に検査を受けてみた「女性の患者様目線」から導線や環境づくりに配慮し、女性患者様が安心して検査や治療を受けられるよう設計しています。プライバシー保護はもちろん、検査時には女性スタッフが同席し、患者様の心理的な負担を軽減します。
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