女性の患者様へ配慮した診療(大腸内視鏡・肛門診察)
女性の患者様へ配慮した診療(大腸内視鏡・肛門診察)
女性のがん死亡率で一番多いのが大腸がんです。特にAYA世代(思春期〜若年成人世代)と呼ばれる若年層から多く見られるがんが、乳がん・子宮頸がん・大腸がんで、これらは若いうちからの定期的ながん検診が大変重要な役割を占めます。
大腸がんは、正常な粘膜から急に発生することは少なく、多くの場合は大腸ポリープと呼ばれる小さな突起物から始まり、これが次第に成長することによって、将来的にがん化します。この大腸ポリープと呼ばれる「大腸がんの芽」のうちに摘み取ってしまうことで、大腸がんの大部分は予防できるため、定期的な大腸カメラ検査をぜひ受けてほしいと考えています。
大腸カメラ検査を受けるにあたって、女性がためらう原因はどこにあるか?について、クリニックを新設するにあたり徹底的に検証しました。数年前、私の当時の職場で、妻に実際に受診し大腸カメラ検査を受けてもらいました。
この際に感じた大腸カメラ検査時の不安感・恐怖心・羞恥心について細かく分析し、実際に大腸カメラ検査を受けてみた「女性患者様側からの目線」から妻のアドバイスを仰ぎ、女性が安心して検査や治療を受けられる導線や環境づくりには、徹底的に配慮を重ねました。
大腸カメラ検査を受ける際は、カメラの入り口だけスリット状に切れ目の入った検査用パンツを履いていただきます。検査室に入るまでは、上からさらにズボンを履いていただきますし、上半身の下着や肌着はつけたままで結構です。
また検査時には上から毛布やタオルケットをお掛けしますので、お尻が直接目に触れることはありませんのでご安心ください。検査時は必ず始まりから終わりまで常時、女性スタッフが付き添います。
大腸カメラ検査は鎮静剤を使用が可能です。鎮静剤には苦痛の緩和だけではなく、不安を和らげる効果もありますし、眠っている間に検査を行うことで、検査中に羞恥心などを感じることもありません。
検査時には、時計やアクセサリー類は外していただく必要がございます。個人用の鍵付きロッカーはご用意しておりますが、万が一、紛失・盗難等の被害に遭われましても、当院では一切の責任を負いかねますため、貴重品類は極力お持ちにならないようお願い申し上げます。特にピアスやヘアアクセサリーなどの外れやすい小物類にはご注意ください。
女性・男性が共用のトイレを使用することは、多くの女性にとっては抵抗感があると思います。便座を上げて用を足す男性がいると、どうしても便器周りの飛び散りが発生しますし、トイレやロッカーを出た際に男性に鉢合わせること自体にストレスを感じる場合もあると思います。
当院では女性専用のトイレ・ロッカーを完備しておりますのでご安心ください。さらにご希望の方にはトイレ付き個室のご案内も可能です(別途料金)。
「家からクリニックに向かう途中にトイレに行きたくなったら?」と移動に不安を感じる方には、院内で快適に事前準備を進めていただけるカフェのような半個室の院内下剤スペースのご用意もございます。
またご希望の方にはトイレ付き個室のご案内も可能です(別途料金)。院内で下剤を飲む場合は、滞在時間が長くなりますので、本やタブレットなど暇つぶしのものをご用意いただくことをお勧めします。電源コンセントもお使いいただけます。
大腸カメラの検査日が生理期間中に当たってしまった場合でも、検査自体は問題なく行うことが可能です。生理中であっても、できるだけ不快感を感じることがないよう検査を受けられる配慮をしておりますので、ご安心ください。詳しくは看護師よりご案内しますので、お声がけください。
大腸がんの約30%は、遺伝的要素が関与していると考えられていますが、特に注意が必要なのが「リンチ症候群」と呼ばれる遺伝性疾患です。リンチ症候群は、親世代から50%の確率で子供へ受け継がれ、様々な臓器のがん発症リスクとなります。
中でも特に頻度が高いのが大腸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)で、これらが重複して発症するケースも多くあります。一般的な大腸がんと比較して進行が早いことに加え、大腸がんの前段階となる大腸ポリープの形状も特徴的で、がん専門病院など特殊な環境でトレーニングを積んだ内視鏡医でなければ、発見が難しいタイプが多いです。
これらに1つでも該当する場合は、若いうちからの定期的な内視鏡検診を繰り返すことが重要です。
女性のがん罹患数で一番多いのが乳がんですが(死亡率で一番多いのは大腸がん)、乳がんと大腸がんの間にも密接な関係があります。乳がんの既往のある患者様は、乳がんのない同世代の患者様と比較して約1.7〜3.5倍大腸ポリープができやすいことが報告されています。
乳がんの既往のある患者様において大腸ポリープができやすくなる原因ははっきりとはわかりませんが、2つのがんには遺伝子変異やホルモンバランス、生活習慣など共通のリスク因子が関与している可能性も示唆されています。乳がんと診断されたことのある方や、過去に治療歴のある方は、定期的な大腸カメラ検査を受け、大腸ポリープの早期発見・早期治療により大腸がんの予防を心がけましょう。
痔も女性に多い悩みのひとつです。女性は男性よりも便秘の頻度が高く肛門に負担がかかりやすいことや、妊娠・出産期に痔の状態が悪化しやすいことが原因として挙げられます。痔疾患は主に「痔核(いぼ痔)」、「裂肛(切れ痔)」、「痔ろう(穴痔)」に分けられ、最も多いのが「痔核(いぼ痔)」です。痔核(いぼ痔)の主な症状としては以下のようなものが挙げられます。
肛門の診察には抵抗感があるけれども、大腸カメラのついでなら診てほしい、というお声もよくいただきます。また、痔の症状だと思っていたら実は大腸がんだった、なんていうこともありえるため、病気が進行してしまう前に一度専門の医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。
大腸がんは、30歳台から増え始める、若年世代にも多いがんの一つです。特に家族に大腸がんの病歴をもっている方がいる場合は、若いうちに一度は検査を受けておくとよいでしょう。また、40歳以降は大腸ポリープや大腸がんの発生頻度がより高くなりますので、定期的な大腸カメラをお勧めします。
男女ともに大腸の平均長さは約1.6メートルです。女性は一般的に体格が男性より小さいにも関わらず、同じ長さの大腸に加え、子宮や卵巣など女性特有の臓器も腹部に収まっているため、大腸はより折りたたまれた状態にあり、周囲の臓器との癒着も多い傾向にあります。
腸の形や体型、癒着の有無などにより個人差がありますが、鎮痛剤や鎮静剤(麻酔)の使用によって、痛みなく楽に検査を受けることが可能です。また、患者様側の因子だけでなく、検査者の技術の差によっても大きな差がありますから、誰にやってもらうかは慎重に選ぶ必要があります。す
当院は無痛内視鏡を得意としていることはもちろん、過敏な腸の方には、特殊な極細径スコープも常備しています。他院で挿入困難と言われた方でも、安心して受診いただけます。
妊娠中は胎児への影響の可能性があり、鎮静剤の使用の有無に関わらず、いかなる理由があっても大腸カメラ検査はお受けいただけません。母体の生命の危険があり、緊急内視鏡が必要な際は、大きな病院での対応をお勧めします。
授乳中でも検査自体は可能ですが、鎮静剤(麻酔)は乳汁移行性がありますので72時間の断乳が必要です。事前に医師にご相談ください。
生理中でも鎮静剤(麻酔)を使った大腸カメラ検査には問題ありません。タンポンや月経カップなどをお使いいただく方が多いです。詳しくは看護師よりご案内しますので、お声がけください。重い生理痛などで体調がすぐれない場合は検査を延期することも可能ですので、遠慮なくご相談ください。
検査自体は15〜30分程度です。ポリープの有無や処置の内容により前後します。鎮静剤を使用した場合は、検査後にベッドでお休みいただく時間もありますので、受付から検査後の結果説明までの時間を含めると、院内の滞在時間は合計で90〜120分程度を見込んでいます。
事前の下剤で大腸がスムーズにきれいにならないと、検査開始時間が後ろにずれ込む場合がありますので、検査当日のスケジュールには十分なゆとりをもっていただくことをお勧めします。
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