胃カメラ
胃カメラ
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは、口から細長いカメラを挿入し、のど(咽頭)から食道、胃、十二指腸の内部を直接観察し、消化器系の異常の有無を確認する検査です。胃カメラ検査では、症状の原因を特定するため、または胃がんや食道がんなど悪性の病気が疑われた場合、必要に応じて検査中に組織の一部を採取(生検)することも可能です。生検した組織を顕微鏡で詳しく調べることによって、観察だけでなく、確定診断まで行うことのできる唯一の検査方法です。
胃カメラ検査が初めての方はもちろん、毎年受けている方でさえ、緊張したり、不安や恐怖に感じたりすることもあるかもしれませんが、ご安心ください。当院は鎮静剤を使用した無痛の内視鏡検査を得意としたクリニックです。心身ともにリラックスした状態で胃カメラを受けられるよう、院内環境にも配慮しております。
胃カメラ検査には、口から挿入する経口内視鏡と、鼻から挿入する経鼻内視鏡の2種類があります。一般的に、口から入れるカメラの方が高画質で、詳細な観察や細かな処置を行うことが可能です。
一方で、カメラの先端が9.9〜10.8mmと太いため、挿入時にオエっと嘔吐反射を起こしやすく、これが「胃カメラは苦しい」と感じる原因になっています。鼻から入れるカメラは5.5〜5.9mmと比較的細いため、鎮静剤を使わない場合でも嘔吐反射が抑えられやすく、「鼻カメラの方が楽」だという印象をお持ちの方も多いと思います。しかし、カメラの画質はどうしても落ちますし、行うことができる処置も限定的です。
当院の胃カメラ検査のメイン機種として採用した「EG-840TP」は、従来の経口内視鏡と同等の高画質を保ちながら、太さも7.9mmと細く、患者様への負担の軽減も期待できる、まさに経口内視鏡と経鼻内視鏡のいいとこ取りをしたような機種です。加えて鎮静剤を使用することにより、「鼻カメラよりも楽な口からのカメラ」を実現します。また、咽頭がん・食道がん・胃がんのリスクが高い患者様に対しては、がん専門病院でも新しく導入されている、より精密な拡大観察機能付きカメラでの検査も可能です。
当院では、がん専門病院と同等の高品質な検査を、より身近な医療サービスとして皆様に提供することを目指しています。正確な診断には、最先端の機器を使用することも重要ですが、それ以上に検査を行う医師の専門性と経験値が不可欠です。
特に診断が難しい「微小がん」や「スキルス胃がん」、「ピロリ陰性胃がん」、「バレット食道がん」などは、がん専門病院や内視鏡専門施設など特殊な環境下でトレーニングを積んだ経歴があるかどうかで、診断能力に著しい差が出ます。内視鏡専門医・指導医資格はもちろんのこと、大学病院やがん専門病院、大手内視鏡クリニックで積んできた豊富な症例経験と実績が当院の強みです。
がんの早期発見には、定期的な胃カメラ検査が不可欠です。厚生労働省が公表している「がん検診実施のための指針」では2年に1回の胃カメラ検査が推奨されていますし、特にがんのリスクの高い患者様の場合、一般には1年に1回の検査が推奨されます。しかし、過去に一度でも胃カメラ検査で苦しいと感じた経験がある方は、なかなか次の検査への一歩を踏み出すことができません。
胃カメラ検査を「トラウマ化」させてしまうかどうかは、初回に検査を担当する内視鏡医に大きく依存するのです。当院では、鎮静剤(麻酔)を使用し、胃カメラの不安や苦痛を最小限に抑えます。「ここでなら毎年でも安心して検査を受けられます!」と笑顔でお帰りいただけるような胃カメラ検査の提供を目指しています。過去に鎮静剤が十分に効かなかった、または麻酔に敏感で最小限の使用を希望される方々もご安心ください。
患者様一人ひとりの体質や健康状態に合わせて、麻酔の種類や量をカスタマイズし、安全性に配慮した検査を心掛けています。お気軽にご希望や懸念をお伝えください。患者様の安心と快適性を最優先に、精度の高い検査を提供いたします。
胃カメラ検査は直接胃の内部を観察しますが、バリウム検査はバリウムを飲んだ後にレントゲンを使用して、病変を間接的に観察する方法です。バリウム検査には立位充盈(じゅうえい)法と二重造影法、圧迫法という撮影方法があり、一般的な検診で行われるのは二重造影法、圧迫法です。
これは発泡剤を飲んで胃を空気で膨らませた後に、体を回転させて胃の壁全体をバリウムでコーティングし、空気とバリウムのコントラストを用いて診断する方法です。バリウム検査の最大の利点は安価に行うことができる点と、検診車などで移動すると場所を選ばずに検査できる点で、区などの地方自治体や、会社で行うがん検診として、歴史ある方法として広く普及しています。
一方で精度の点では胃カメラより劣ります。日本と似た環境にある韓国で行われた、25万人を対象とした大規模な調査結果によると、5年間に1度でも胃カメラ検診を受けた人は、胃がん死亡率が47%減少したのに対して、バリウム検査による胃がん死亡率の減少はわずか2%にとどまったと報告されています。日本では、非常に上手な技師さんもいて、バリウムでもかなり高い精度で病変を発見してくれる場合もありますから、少し違うデータになるかもしれません。
しかし、胃カメラ検査では、胃の粘膜の微細な変化も捉え、ごく早期の段階からがんを発見することができますし、バリウムが苦手とする食道や十二指腸の病変なども同時に見つけることが可能です。我々、医療従事者のほとんどはバリウムではなく胃カメラ検査を選択しているのが実情です。
結論から言うと、鎮静剤(麻酔)を用いた胃カメラが最も楽に受けられます。鎮静剤を使用しない場合、胃カメラとバリウムのどちらがよりつらいと感じるかは個人差が大きいです。バリウム検査では、バリウムの味や、発泡剤で胃が膨れる感じやゲップが止まらなかったり、検査台で回転したりと、特有のつらさがあります。
また、バリウムを飲んだ後、一時的に便秘を引き起こすことがあり、うまく排泄できずにバリウムが体内に残ると、腸の中で固まって腸閉塞を起こしたり、腸に穴が開いたりしてしまう合併症を引き起こす場合もあります(バリウム検査後に下剤を渡されるのはこのためです)。胃カメラは、内視鏡が挿入されている間の違和感や嘔吐反射をつらいと感じる方が多いですが、これらは鎮静剤を使用することで緩和することが可能です。
また、バリウムで「要精密検査」となった場合は結局、胃カメラ検査を受けなければならないので、最初から胃カメラで検査を受けることで二度手間にならないメリットも大きいです。
1
検査予約
胃カメラ検査は24時間WEBからご予約可能です。予約後、事前にWEB問診への回答も済ませていただくと、当日スムーズにご案内が可能です(事前にWEB問診への回答をいただけていない場合は、来院後にご記入いただきますので、検査の順番が前後する可能性がありますことご了承ください)。
2
検査前日
〜13:00までの検査の方 | 13:00〜の検査の方 | |
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食事 | 夕食は消化の良いものにし、夜21時までに済ませてください。それ以降は絶食です。 | 夕食は消化の良いものにしましょう。 |
飲み物 | 水分摂取は制限ありません。アルコールは控えてください。 | 水分摂取は制限ありません。アルコールは控えてください。 |
内服 | 常用薬やサプリメントなどは、通常通り内服してください。 |
3
検査当日
〜13:00までの検査の方 | 13:00〜の検査の方 | |
---|---|---|
食事 | 朝食は抜いて、絶食状態でご来院ください(検査終了後まで食べられません)。 | 朝8時までに軽めの朝食を済ませ、それ以降は絶食でご来院ください。 |
飲み物 | 水・お茶・スポーツドリンクなどの色の薄い透明な液体は、検査1時間前まで摂取可能です。 | 水・お茶・スポーツドリンクなどの色の薄い透明な液体は、検査1時間前まで摂取可能です。 |
内服 | 常用薬やサプリメントなどは、原則として起床時(検査の2時間前まで)に内服してください。※ | 常用薬やサプリメントなどは、通常通り内服してください。※ |
※糖尿病の方へ | 糖尿病の薬は飲まないようにしてください。インスリン注射をしている方は、主治医の指示に従ってください。 | |
※抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)内服の方へ | 抗血栓(血液をサラサラにする薬)は自己判断で休薬しないでください。ワーファリン内服中の方は、検査前1週間以内の事前採血が必要となりますので、検査前日までに必ず一度ご来院ください。 |
ご来院方法について
鎮静剤(麻酔)を使用する場合、当日の車・バイク・自転車の運転はできませんのでご注意ください。
4
来院後〜検査
ご来院後、受付をします。事前にWEB問診への回答がお済みでない場合は、来院後にご記入いただきます。
基本的にご自身のお洋服を着たまま行いますので、服装はなるべく動きやすいものを選び、汚れの目立つ白い服や高価な装飾品は避けていただくようお願いします。
病変の見逃しを防ぐため、胃の中の泡消しと粘液除去剤を飲んでいただいた後、いよいよ検査です。鎮静剤(麻酔)を投与すると1分程度で眠たくなります。鎮静剤が効いていることを確認し、胃カメラを挿入し検査を行います。検査時間は5〜10分程度です。
5
検査後
検査が終わった後は、リカバリールームでお休みいただきます。その後、医師から検査時の画像をお見せしながら検査結果の説明を行います。ピロリ菌の検査や、組織検査などを行った場合は、最終の診断結果が出るまでお時間を要する場合がありますので、必要時ご案内します。
食事 | 検査後は、すぐに召し上がっていただいて構いません。検査後最初のお食事はなるべく消化のよいものを選びましょう。 |
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飲み物 | 検査後は、特に制限はありません。検査当日は鎮静剤(麻酔)の影響もありますので、飲酒は控えましょう。 |
内服 | 検査後は、特に制限はありません。常用薬やサプリメントなどは、通常通り内服してください。 |
胃カメラ検査そのものの時間は5〜10分程度です。鎮静剤(麻酔)を使用した場合、ウトウト眠っている間に終わってしまうような感覚です。
鎮静剤(麻酔)を使用しての検査の場合、検査後にリカバリールームでお休みいただいたのち、結果の説明等を行いますので、ご来院されてからお帰りになるまでおおよそ60〜90分程度を見込んでいます。多少前後する場合がありますので、検査後のスケジュールにはゆとりをもっていただくことをお勧めします。
保険診療の場合、日本全国どの医療機関で検査を受けても、胃カメラの検査費用は基本的に一律です。費用の目安は下記をご確認ください。
1割負担 | 3割負担 | |
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胃内視鏡(観察のみ) | 2,000円前後 | 5,000円前後 |
胃内視鏡+ピロリ菌検査 | 2,500円前後 | 7,000円前後 |
胃内視鏡+病理組織検査 | 3,000〜4,500円前後 | 9,000〜14,000円前後 |
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