
大腸ポリープについてよくある質問
大腸ポリープについてよくある質問
ポリープの種類や大きさ、形状によって対応が異なります。小さくてがん化のリスクが低いと判断されるポリープは、経過観察となる場合もあります。しかし、がん化のリスクがあるポリープや大きなポリープは、早めの切除が推奨されます。
当院では大腸カメラ検査時は全例で拡大機能付きの内視鏡機器を用いており、JNET分類(日本の大腸内視鏡専門医による多施設共同研究で確立された内視鏡分類)を活用し、ポリープの特性を詳細に評価します。その結果をもとに、病変ごとに最適な治療法を提案します。
切除したポリープの大きさや形、切除方法によって、ポリープ切除後の安静期間は異なります。一般的に通電を伴わない処置の場合は術後24時間以内、通電を伴う処置の場合は術後2日〜1週間以内の術後出血が多く、安静を要します。
抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいる方は出血リスクが高いため、より慎重な経過観察が必要です。当院では、術後安静期間が最も短くなるように治療法を選択しますが、個々の安静期間については術後個別にお伝えします。
最も頻度が高いのは術後出血です。切除方法にもよりますが、0.3〜1.7%程度の頻度で起こるとされています。軽度の出血であれば自然に落ち着きますが、出血量が多い場合は内視鏡的な止血処置を要する場合があります。また、頻度は低いものの重篤な合併症としては、術後に遅れて腸に穴が開く「遅発性穿孔」と呼ばれる合併症があります。強い腹痛や発熱、血液検査での炎症反応などで診断され、外科的な処置を要する場合があります。
組織検査やポリープ切除の際には大なり小なり、必ず一時的な出血はあります。処置中に見られた出血に関してはその場で止血処置を行っておりますが、どんなに慎重を期した場合でも術後1週間程度は遅れて出血する可能性があり、程度によっては追加の止血処置や入院安静を要する場合があります。
便に少量の血液が混じる程度なら安静にすることで自然に止血されますが、便器が真っ赤に染まるような出血が複数回続く場合には、速やかにクリニックまでご連絡ください。
ポリープ切除で痛みが起こることは通常はありません。ただし、稀ではありますが遅発性穿孔と呼ばれる、腸に穴が空いてしまう状態や、Post-polypectomy syndromeと言って、穿孔していなくともポリープ切除時に流した電気によって筋層に熱が加わってしまうことで起こる局所的な炎症などで腹痛が出る場合があるため、異常を感じた場合はすぐに医師にご相談ください。
軽い痛みであれば、数日以内に自然に落ち着くことがほとんどです。痛みが長引く場合や、強い痛みがある場合、発熱を伴う場合は、すぐに医師にご相談ください。
大腸ポリープ切除時には必ず小量の出血を伴いますので、処置後最初の1〜2回の排便に血液が混じることは珍しくありません。自然に薄くなって普通の便の色に戻るようなら問題ありません。一方で、出血が続く場合や大量に出血する場合は、止血処置が必要となる場合がありますので、すぐに医師にご相談ください。
大腸ポリープは年齢を重ねるとできやすくなり、遺伝的な要素も絡むため完全に予防することはできません。ただし、生活習慣に気をつけることで、ある程度の予防効果は期待できます。
肥満は大腸ポリープの原因となるため、適正体重を保つこと。アルコール摂取は1日1合までとし、週2日は休肝日を設けること。食物繊維をしっかり摂取すること。1回30分程度の軽く汗をかく程度の運動を週2回は行うこと、などが効果的です。
ポリープの大きさや形、色、粘膜の模様などを総合的に判断し、ある程度予測を立てることは可能です。最終的な「確定診断」には切除した組織の顕微鏡での詳しい検査(病理検査)が必要です。
大腸ポリープの成長速度は様々で、個人差も大きいため一概に予測することができません。10年放置してもサイズがほとんど変わらないこともある一方で、1年で1cm以上の大腸ポリープが繰り返しできる方もいます。患者様おひとりおひとりの体質などを加味して、次回検査の適切なタイミングをご案内します。
ポリープを放置した場合、がん化するまでの時間はポリープの種類や個人の体質によって異なります。腺腫性ポリープは、一般的にがん化するまでに通常数年以上かかると考えられています。しかし、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)など、遺伝性の要因が背景にある場合は進行が早い傾向があり、1年以内に早期大腸がんが発生するケースも目にすることもあります。
米国で行われたNational Polyp Study(ナショナルポリープスタディ)という研究では、発見されたすべての腺腫性ポリープを切除して「クリーン・コロン」を達成した場合、大腸がんによる死亡率が大幅に抑制されることが示されています。つまり、ポリープが見つかった場合、早期に適切な治療を受けることが、がん化を防ぐ最も効果的な方法と言えます。医師の指示に従い、定期的な検査と治療を行うことが健康を守る鍵となります。
「悪性の大腸ポリープ」=「大腸がん」ですが、早期のがんで、内視鏡で取り切れていれば「根治」と見なすことができ、追加の治療の必要はありません。残念ながら、がんが進行していて将来的な転移のリスクがあると判断された場合は、追加の外科的な手術が必要となる場合があります。
大腸ポリープは年齢を重ねるにつれて発生するリスクが高まるため、中高年に多く見られる傾向がありますが、若い方にも発生する可能性があります。特に家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)のような遺伝性疾患がある場合、若年でも複数のポリープができるリスクが高くなります。若い方でも便に血が混じる、腹痛が続くなどの症状がある場合はもちろんのこと、家族に大腸ポリープや大腸がんの既往がある場合は症状がなくとも早めに検査を受けることが重要です。
家族に大腸がんや大腸ポリープがある場合、遺伝的な要因でポリープができやすい可能性があります。特に、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)などの遺伝性疾患が疑われる場合は、リスクが高まるため注意が必要です。
このような場合、通常よりも早い段階での定期的な内視鏡検査が推奨されます。具体的には、家系内で最も若く大腸がんを発症した人の発症年齢より10歳若い年齢から検査を開始するのが一般的です。心配な方は、ご家族の病歴を医師に相談し、適切な検査計画を立てることが重要です。
小さな大腸ポリープでは通常、症状が出ることはありません。しかし、大きなポリープや多発性のポリープが腸の中を通る内容物の流れを妨げると、便秘や下痢、腹部の不快感などの症状を引き起こすことがあります。ポリープが原因で症状が出ている場合には、適切な治療を受けることで症状が改善することが期待されます。また、これらの症状は他の疾患でも見られるため、症状が気になる場合は放置せずに早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが大切です。
当院では、検査中の痛みや不快感に最大限配慮し、鎮静剤を使用してリラックスした状態での大腸カメラ検査を受けることが可能です。また、過去に他院で腸管過長(腸が長い)もしくは癒着などにより挿入困難と言われた方にも対応できるよう、特殊な内視鏡機器も取り揃えております。その他、検査に関してご不安なことがありましたら、事前診察の際に医師・スタッフまでお気軽にご相談ください。
大腸ポリープを切除した当日は、飲酒や刺激物の摂取は控えるようにしてください。大きな大腸ポリープなど、出血が高いと判断される病変をを切除した場合、最大で術後1週間程度の食事制限をお勧めします。
切除当日はおかゆやうどんなどの消化の良いものを摂ってください。その後も数日間は消化の良いものから始め、徐々に普段の食事に戻していくことが推奨されます。詳細な食事内容については、下記ページもご参照ください。
完全に予防することは難しいですが、食物繊維を多く含む野菜、果物、全粒穀物などを積極的に摂ることが効果的です。赤身肉や加工肉の過剰摂取を減らし、魚や植物性タンパク質を取り入れることも推奨されます。アルコールや喫煙を控えることも大切です。
大腸ポリープ切除にはいくつかの方法があり、ポリープの大きさや性質によって使い分けられます。小さなポリープには電気を使わずに切除するコールドスネアポリペクトミー(CSP)が安全に行われます。やや大きなポリープには高周波電流を用いるホットスネアポリペクトミー(HSP)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、あるいは特殊なナイフで粘膜下層を剥離しながら一括切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が選択されます。
基本的に検査中にその場で切除することが可能ですが、ポリープの大きさや種類、部位によって、入院治療が必要と判断された場合には、高次医療機関を紹介します。
きちんと断端陰性で取りきれていれば、切除部位から再発することは基本的にありません。ただし、大腸ポリープができやすい体質や生活習慣をもつ方では、別の場所に新たなポリープが出てくることが珍しくありません(再発というよりも「新たな発生」と捉える方が適切です)。そのため、ポリープ切除後も定期的な大腸カメラでの経過観察が必須です。再検査の間隔は切除したポリープの大きさ・数・組織型によって異なり、1年以内の短い間隔で確認が必要な場合もあれば、2〜3年ごとでよい場合もあります。
JNET分類(Japan NBI Expert Team分類)は、内視鏡の特殊光を用いた拡大観察により、病変の血管の見え方(vascular pattern)と表面構造(surface pattern)を観察し、ポリープの良悪性の判断や深達度を予測する国際的な指標です。
大腸ポリープ切除後の病理検査では、ポリープの将来的な癌化のポテンシャル(今は良性でも将来的にがんになる可能性が高いタイプかどうか)を評価することができます。また、すでに癌細胞が含まれていた場合には、転移のリスクを評価し、追加治療の要否や次回のフォローアップ計画を立てるために欠かせない情報が得られます。
大腸ポリープ切除は基本的に保険診療となります。費用は保険の自己負担率やポリープの数や大きさなどにより変動します。3割負担の場合、20,000〜36,000円前後です。保険診療の場合、日本全国どの医療機関で検査を受けても、大腸カメラの検査費用は基本的に一律です。
はい、ポリープ切除は健康保険が適用される医療行為であるため、医療費が高額になった場合は高額療養費制度の対象となります。
大腸ポリープ切除を受けた場合、多くの民間医療保険では手術給付金の対象になります。ただし、実際に給付の対象となるかどうかは、加入している保険商品の規約や約款によって異なりますので、個別に保険会社へ確認してください。
肥満はリスクを高めるため適正体重を維持することが大切です。定期的な運動や食物繊維をしっかりとることでリスクの低減につながります。また、禁煙や節酒も心がけましょう。
食事から十分な食物繊維を摂るのが難しい場合は、サプリメント(難消化性デキストリン、サイリウム、イヌリンなど)を利用するのも有効です。また、適度な運動による適正体重を維持することも重要です。
サプリメントが大腸ポリープの予防に効果をもつ可能性を示した研究も存在します。たとえば、カルシウムやビタミンD、抗酸化ビタミン(ビタミンC・Eなど)、食物繊維サプリメントの摂取が挙げられます。ただし、サプリメントは大腸ポリープ予防の“主役”ではなく、生活習慣改善や定期的な大腸カメラと併用することで効果が期待できる補助的手段と捉えるのが現実的です。
切除当日は控えてください。小さなポリープであれば翌日から、大きなポリープの場合は出血リスクを考慮して最大1週間程度控えていただくことがあります。
大腸ポリープを切除した後の旅行、とくに航空機の利用については注意が必要です。一般的に、退院後3日間は万が一の出血などに備え、医療機関から1時間以内で来院できる範囲に滞在することが望ましいとされています。また、大腸ポリペクトミー後1週間以内は航空機での移動は適していないとされており、国内外の旅行計画には慎重な判断が必要です。
特に航空機乗組員の方については、航空身体検査マニュアル1−3(4−2)において以下のように規定されています。:「消化管の内視鏡治療(ポリープまたは粘膜切除術)後は、少なくとも1週間の経過観察を行うこと。切除した腫瘍が悪性である場合は、粘膜内癌であり、切除断端が陰性であること、さらに消化器専門医の診断により再発等が認められないことが確認されれば適合とする。」
ただし、この規定は航空会社ごとに細則が異なる場合があります。そのため、検査当日にポリープ切除を受ける可能性がある航空機関係の方は、事前に勤務先の社内規定をご確認いただくことをおすすめします。
NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬:ロキソニン、イブプロフェンなど)やアスピリンは、術後出血のリスクを高める可能性があります。痛み止めが必要な場合には、アセトアミノフェン(カロナールなど)が比較的安全です。痛み止めの内服が必要な場合には、自己判断で服用せず、まずは当院にご相談ください。
当日はシャワー浴のみにしてください。術後出血リスクを避けるため、長風呂やサウナは控えましょう。
便秘を避けることが大切です。便が硬くて強くいきむと、切除部位に負担がかかり、出血のリスクが高まります。術後は水分をしっかりとり、食事も消化の良いものを中心にして便を柔らかく保つようにしましょう。排便の際に少量の血が混じることは珍しくありませんが、鮮やかな赤い血が多量に出る、便器が真っ赤に染まる、血の塊が出るといった場合は、術後出血の可能性があり、すぐに医療機関へ連絡してください。
家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis:FAP)は、遺伝性に発症する大腸に多数の腺腫(ポリープ)が生じる病気です。放置すると大腸がんに進展するリスクが極めて高く、大腸内視鏡検査による定期的な監視が必須です。
ポリープの種類や数によって異なります。良性の小さなポリープのみであれば2〜3年後、がん化リスクの高いポリープを切除した場合は1年後の検査が推奨されます。
小さいポリープは、便秘の直接的な原因とはなりにくいです。便秘の解消には、食生活や生活習慣の見直しが重要です。
病変が極端に大きい場合や、出血リスクが高いと判断された病変は入院治療が必要となります。この際は提携している治療経験の豊富な専門病院をご紹介させていただきます。
大腸にできるポリープは、必ずしもすべてががんになるわけではありません。しかし、最も一般的な「腺腫性ポリープ(腺腫)」をはじめ将来的にがんへ進む可能性を持つものも多く、大腸カメラで見つかったポリープはその場で切除して詳しく調べることが一般的です。定期的な検査と適切な処置によって、大腸がんを未然に防ぐことが可能になります。
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