2024年7月17日
大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見や予防に非常に重要な検査ですが、多くの人々にとって不安を伴うものです。特に、痛みや不快感を心配して検査をためらう方も少なくありません。この記事では、大腸カメラ検査の痛みの原因とその対処法について詳しく解説します。
大腸カメラ検査の痛みのメカニズム
大腸カメラの際に痛みが出る要因のTOP3は、以下の通りです。
1. スコープ挿入時の痛み
大腸カメラ検査では、曲がりくねった腸を「短縮・直線化」しながらスコープを直腸から盲腸まで進めていきます。この「短縮・直線化」を上手にできるかどうか?というのが、内視鏡検査医の腕の見せ所です。うまく「短縮・直線化」できないままに、無理にスコープを押し進めようとすると、大腸が引き伸ばされ、大腸の壁の外側を走っている痛覚を刺激するため、痛みが生じます。
2. 空気注入による腹部の張り・痛み
大腸カメラの挿入・観察の際に、スコープから腸内に空気が注入されると、腸が膨らむことによる腹部の痛みや不快感を引き起こす場合があります。最近では、体内吸収率の高い二酸化炭素ガスを使用することで、痛みや不快感が軽減されていますが、検査時間が必要以上に長い場合や、過送気が行われると、やはり症状が出てしまいます。
3. 腸管の状態と痛みの関係
腸管が炎症を起こしている場合や、過去の手術による癒着がある場合、痛みが増すことがあります。過去に「腸が長い」「癒着が強い」などと言われ、検査が大変だった方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
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内視鏡検査で痛みを感じやすい方のための工夫
1. 医療機関の選び方
痛みを軽減するためには、設備が整った医療機関を選ぶことが重要です。最新の機器を使用している病院や、内視鏡検査の経験が豊富な医師がいる施設を選びましょう。
特に大腸カメラは、医師の技術により痛みの程度が大きく異なるため、経験豊富な医師を選ぶことが重要です。一概には言えませんが、多くの症例の集まる(いわゆる「ハイボリュームセンター」と呼ばれる)、がん専門病院や大学病院の内視鏡部門出身の先生は、症例経験数が豊富な場合が多いです。経験豊富な医師は、スコープの細かな操作により、痛みを最小限に抑えることができることに加え、病変の発見率も高いため、大腸がんの予防効果も高まります。
2. 鎮痛剤と鎮静剤の適切な使用
検査中の痛みを軽減するために、鎮痛剤や鎮静剤を使用することが可能です。これらの薬剤を適切に使用することで、検査中の不快感を大幅に軽減することができます。使用する薬剤は医療機関ごとに異なる場合があるため、心配な方は事前の診察時に確認するとよいでしょう。
3. 腸管の状態と痛みの関係
腸管が炎症を起こしている場合や、過去の手術による癒着がある場合、痛みが出やすい場合があります。このような方は、鎮痛剤や鎮静剤を使用する以外にも、過去に「腸が長い」「癒着が強い」などと言われ、検査が大変だった経験をお持ちの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
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大腸内視鏡検査前後の痛みの原因と対処法
1. 検査前の下剤でのお腹の痛み
大腸カメラ検査前に服用する下剤は、腸を完全に空にし、病変の見落としを最小限にするために必要な行程です。しかし、下剤が原因でお腹の痛みや不快感を感じることがあります。当院では、過去に下剤で腹痛があった方のために刺激性下剤を用いずに、非刺激性下剤のみで前処置を行う方法のご案内も可能です。
2. ポリープ切除後の痛み
大腸の粘膜には痛覚がないため、ポリープを切除しても通常は痛みを生じませんが、post – polypectomy syndromeと呼ばれる、ポリープ切除後の腹痛・発熱などが稀に起こる場合があります。特に通電を伴うようなポリープ切除処置を行った後に、約1%程度の確率で起こるとされています。ポリープ切除後は、医師の指示に従い、一定期間、安静に過ごすことが重要です。
3. おしりが痛い場合の対策
トイレに頻繁に通ったり、スコープ挿入後におしりがヒリヒリと痛むことがあります。この場合、温かい座浴や軟膏の使用が有効です。検査後に処方を受けることも可能なので、必要な場合は医師に相談してください。
まとめ
大腸カメラ検査は、早期の大腸がん発見や予防に不可欠な検査です。医療機関の選び方や、鎮痛剤・鎮静剤の適切な使用、検査前後のケアなど、適切な対策を講じることで、痛みを最小限に抑え、快適に検査を受けることが可能です。健康な生活を送るためにも、定期的な検査を心がけましょう。